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誤嚥性肺炎後の食事対応。医原性サルコペニアを防ぐためにKTバランスチャートを活用。

先日参加した、第4回サルコペニア・フレイル学会でオーラルフレイルや医原性サルコペニアなど、経口摂取に関するトピックについて学ぶ機会がありました。


改めて、高齢者の口腔・嚥下機能の評価や、禁食の必要性の有無をしっかりと考察することの重要性を感じましたね。


ただ知識として知っていても、実際の行動に移せていないのも問題なんですよね、私のように。


院内でも勉強会はさせてはいただいてますが、やはり知識だけでなく実際の症例を通してアプローチすることで重要性に気づきやすいのかと思いました。


さて、今日は以下の内容をまとめてみました。

医原性サルコペニア症例


以前から誤嚥性肺炎に対しての早期PT介入による院内生存率の向上や、早期経口摂取開始により退院時の3食経口摂取獲得率の向上などのエビデンスは若林先生の講演などでも聞く機会がありましたが、自分の病院の中でそれらのエビデンスが周知されているかと言えば、、、まだまだですね。


つい先日、改めて医原性サルコペニアに対して考えさせられる症例がいたので、簡単にまとめます。


他のPTが担当している患者で、頸部骨折の術後に誤嚥性肺炎を起こした患者がいました。


その患者は、嚥下機能自体は比較的良好だったようですが、認知症が強く食べ物の認識ができていないため食事摂取量が伸びていない状態だったようです。


ご家族が食事介助していた際に、一生懸命食べさそうとして無理やり詰め込むような形になり誤嚥性肺炎になり、その後経管栄養となりました。


肺炎が落ちついた後も、改めてVFの検査もなく、おやつ等を開始することもなく禁食のまま1カ月以上経過していました。


私も肺炎治療後、しばらく経過してから時々リハビリに入る機会がありましたが、経過により声かけに対する反応や表情のバリエーションも増えており、わずかではありますが認知機能の改善得られている印象でした。


個人的には、VFやおやつ程度から反応を見てもいいのかと思っていましたが、病棟スタッフ・リハスタッフともに経口摂取に対する意識は完全になくなっている雰囲気でした。担当PTにはDrと経口摂取について相談を促しましたが、あまり意欲的でなかったようです。


その後、たまたまご家族から経口摂取の希望の話もあり、再度VFする機会が作られ、嚥下機能は保たれていたので経管栄養にプラスしておやつのセリーが開始しました。


最初は、やはり食べることに対しての拒否反応見られましたが、徐々に拒否も少なくなり、おやつ開始から1カ月半ほどで昼食のみ経口摂取、朝夕は経管栄養、ここまで今のところ改善してきています。


この症例を通して、改めて禁食の判断をしっかりと見極めることの必要性を感じました。経管栄養を開始したら、いかに経管栄養を終了する方向へ考えていくかが重要なだーと思いました。


人工呼吸器関連では、ウィーニング(人工呼吸器からの離脱)という言葉があります。


広義のウィーニングの考えには、人工呼吸器導入直後からウィーニングを視野にアプローチ・ケアを行っていくことだと思います。


経管栄養に関しても、常に経管栄養の終了を視野に入れる発想が必要ですね。


KTバランスチャート

安易な禁食はもちろんNGですが、禁食にするか・経口摂取にチャレンジするかは、確かに判断が難しいことだとは思います。


そんな中でKTバランスチャートという患者の状態を包括的に評価するものがあるようです。ちなみにKTは「口から食べる」の略のようです。


評価項目は、①食べる意欲、②全身状態、③呼吸状態、④口腔状態、⑤認知機能(食事中)、⑥咀嚼・送り込み、⑦嚥下、⑧姿勢・耐久性、⑨食事動作、⑩活動、⑪摂食状況レベル、⑫食物形態、⑬栄養の13項目で構成されており、それぞれ5段階でスコア化します。


嚥下機能だけでなく、食事に影響しうる項目を包括的に評価して、レーダーチャートするので視覚的にも患者の状態を理解しやすく、他職種でのカンファレンス等でも使用しやすいかもしれませんね。


医学書院さんのホームページからデータ入力用のエクセルファイルや各項目の評価基準のデータも無料でダウンロードできますので、興味がある方は調べてみてください。


うちのSTさんに聞いてみても知らないようだったので、良い症例がいたら紹介してみようかなと思います。


診療報酬上の加算


経口摂取の獲得に対する評価・対価として摂食機能療法・経口摂取回復促進加算があります。


概要としては、摂食機能療法に専従する常勤言語聴覚士が1名以上必要。月に1回以上VFか内視鏡検査を行い、医師・STを含めた他職種でカンファレンスを行う。

鼻腔栄養・胃瘻造設患者のうち3割5分以上の割合で経口摂取へ移行しているなどの条件を満たせば、加算が取れるようです。


摂食機能療法185点、経口摂取回復促進加算185点です。


なかなか魅力的だなと思います。疾患別リハとは別に算定できますし、専従のST以外、例えば看護師が行っても加算が取れます。


またSTは専従とは言っても、摂食機能療法以外の時間で疾患別リハを算定できるようですし。


問題は経口摂取への移行している患者の割合なんでしょうか。35%という数字が高いのか低いのか分かりませんが、とりあえず数字を出してみてもいいのかもしれませんね。


介護報酬でも、経口移行加算、経口維持加算など、経口摂取に対して計画をして支援をすることで加算が取れるようです。


経口摂取への取り組み・重要性の輪が広がっていくといいですね。


本日も最後までお付き合いありがとうございました。

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